古い塗膜中に、基準値を超える高い濃度の有害な重金属類等(鉛・PCBなど)を含んでいる場合、
ブラスト等の素地調整に先立ち、有害重金属類を含んだ塗膜のみを剥離工法にて除去します。
そうすることで、塗替え塗装工事全体で発生する産業廃棄物のうち、特別管理型となる産業廃棄物の数量を抑え、処理費用の低減が見込めます。
弊社では、剥離剤による塗膜剥離を主に施工しております。

施工の流れとしては、剥離剤を塗装面に塗布し、一定時間以上浸透放置させたのち、
軟化湿潤した古い塗膜を刃付きスクレーパーなどで掻き落とす、というものです。


ブラストによる使用済み研削材

古い塗膜中に、基準値を超える高い濃度の有害な重金属類等(鉛・PCBなど)
を含んでいる場合、古い塗膜の混じった使用済み研削材のすべてが特別管理型産業廃棄物となります。

ブラスト研削材と除去塗膜片などの写真

ブラスト研削材(弊社で主に使用しているブラックグリット)と、
除去した塗膜片やサビが混ざった状態です。
1㎡あたり30kg~40㎏使用するため、廃棄物の量は多くなります。

剥離剤を用いた塗膜剥離

古い塗膜中に、基準値を超える高い濃度の有害な重金属類等(鉛・PCBなど)
を含んでいる場合、剥離剤を用いて掻き落とした古い塗膜のみが特別管理型産業廃棄物となります。

軟化塗膜掻き落としの写真

剥離剤を塗布し一定時間以上浸透軟化させ、
刃付きスクレーパーで軟化塗膜を掻き落としている状況です。
1㎡あたり0.6㎏~1.0㎏程度の剥離剤と塗膜のみが廃棄物となります。
(剥離剤の使用量は、古い塗膜の厚さや性状、気候により変化します)


使用する剥離剤は、「環境対応型アルコール系”中性”はく離剤」や、さらに環境や人に優しい「水系剥離剤」など各メーカーから用意されておりますが、
古い塗膜の厚さや性状、現場の条件等により、剥離の施工性に差が出ることがありますので、基本的に「試験施工」を行ってから、使用する剥離剤を決定します。


塗膜剥離後の素地調整について

剥離剤などを用いた塗膜剥離工法は、あくまで鋼材に塗装された”塗膜のみ”を剥離するものであり、塗膜剥離後の素地調整が必ず必要です。
素地調整の説明イメージ

剥離剤による塗膜剥離工法では、軟化湿潤塗膜のみを掻き落とすため、鋼材のアンカーパターン凹部に入り込んでいる塗膜やサビ、またはミルスケール(黒皮)やエッチングプライマー・ジンクリッチプライマーなどは落としきることができず、鋼材面に残存します。

塗替え塗装では、素地調整の品質がその後の防食性能に大きく影響しますので、塗膜剥離後は必ずブラストなどの方法で素地調整を行い、残存した塗膜やサビ、ミルスケール(黒皮)やエッチングプライマー・ジンクリッチプライマーなどを入念に除去し、再塗装する面を清浄粗面化します。